ニオイ
香水初心者に捧ぐ、香水の付け方の基本
済2026年8月・公式サイト調べ/毎月更新
この記事の要点
- 量の目安は1〜2プッシュ。ただし業界の解説1件が示す目安です。
- 強すぎるときは、量より先に位置を腰から下に下げる方法があります。
- 香りの濃さを示す「賦香率」は解説ごとに数値が違い、編集部が読んだ法令と通知にも区分はありませんでした。
ボトルはもう手元にある。あとは、どこに何回かけるか。そこで止まっていませんか。
香水で怖いのは足りないことではなく、多すぎることです。少なければ誰も困りませんが、多すぎても自分では気づけません。最初に決めるべきことは1つだけです。量は少なく、位置は低く。
その前に、自分のボトルの表示を確かめてください。香水は香りのもとの濃さで種類が分かれ、商品名や箱の「オードトワレ」「オードパルファン」などがそれです。薄いほうがオードトワレ、濃いほうがオードパルファンで、濃いものほど強く長く香るとされ、目安の量も種類によって変わります。
この記事の数字は、国の通知・事務連絡と、香水を扱う事業者・専門メディアの解説3件から取りました。
この記事の要点
- 量の目安は、濃いほうのオードパルファンで1〜2プッシュ、薄いほうのオードトワレで1〜3プッシュ。ただしこの数字を書いていたのは、編集部が確認した解説3件のうち1件だけです
- 香りのもとの濃さを示す数値を賦香率(ふこうりつ)といいます。3件を並べると一致せず、オードトワレは5〜10%・5〜12%・8〜12%と3通りに割れていました
- 編集部が読んだ法令と通知の2つには、濃さで香水を区分する定めはありませんでした
- 強く香らせたくないなら、量より先につける位置を腰から下に下げる方法があります(こう説明していたのも3件のうち1件です)
- 柔軟剤などの香りで頭痛や吐き気がするという相談が消費生活センターに寄せられており、国も香りへの配慮を啓発しています
量は1〜2プッシュから。足りなければ翌日に1回増やす
プッシュ数の目安を書いていたのは、編集部が確認した解説3件のうち、香水メーカーのメディア「FITS you.」の1件だけでした。そこには濃い側から順に、パルファン1プッシュ、オードパルファン1〜2プッシュ、オードトワレ1〜3プッシュ、オーデコロン2〜3プッシュとあります(2026年8月9日確認)。自分のボトルに書かれている種類の行を見てください。
ここで注意が2つあります。これは香水の種類ごとの目安で、部位ごとの回数ではありません(首1回・手首1回で2プッシュ、という指定ではない)。また1件しか書いていない以上「業界で共通の目安」とは言えず、公的機関の基準でも編集部が試した数字でもありません。
それでも「まず少ない側から」と書く理由は、修正の効きやすさにあります。足りない日は次の日に1回足せますが、多すぎた日はその日を諦めるしかありません。
もう1つ、量を増やしにくい事情があります。つけた香りが周りにどれだけ届いているかを、自分で確かめる方法がありません。その場で「弱い気がする」と足すと、判定できないまま量だけが増えていきます。
だから調整は、その場で足すのではなく日をまたいで行います。1プッシュで1日過ごし、誰にも気づかれず物足りなければ翌日に1回足す。この順番なら行きすぎません。
「オードトワレは賦香率5〜10%」は、解説3件で数値が違った
香水の記事を何本か読むと、必ず賦香率の表に出会います。賦香率(ふこうりつ)とは、液の中に香りのもとがどれくらい入っているかの割合で、高いほど濃い香水になります。多くの記事が、この数値を規格のように書いています。
編集部が3件の解説を開いて数値を並べたところ、賦香率が3件とも同じ数値になる区分は1つもありませんでした。
| 種類(濃い順) | カラリア | FITS you. | いいにおい |
|---|---|---|---|
| パルファン(いちばん濃い) | 15〜30% | 15〜30% | 15〜40% |
| オードパルファン(濃いめ) | 10〜15% | 8〜15% | 12〜15% |
| オードトワレ(薄め) | 5〜10% | 5〜12% | 8〜12% |
| オーデコロン(かなり薄い) | 3〜5% | 3〜8% | 2〜5% |
| オーデサントゥール(1件だけにある種類) | 1〜3% | 記載なし | 記載なし |
3件とも2026年8月9日に確認しました。名称の表記も出典ごとに違うため(パルファン/パルファム、オードトワレ/オーデトワレなど)、この表では1つに寄せています。
持続時間も同じように並べました。パルファンは5〜7時間(カラリア・FITS you.)・6時間以上(いいにおい)、オードトワレは3〜4時間(カラリア・FITS you.)・約3時間(いいにおい)、オーデコロンは1〜2時間(カラリア・FITS you.)・約1時間(いいにおい)でした。持続時間は、薄い区分ほど揃います。オードトワレとオーデコロンは3件が実質一致し、ばらつきが大きいのは濃い側でした。
読み取れるのは順序だけです。賦香率も持続時間も、濃い区分ほど大きい値になる、という並び順は3件に共通します。使えないのは「自分の香水は5〜10%だから3時間で消える」という個別の当てはめです。
編集部が読んだ法令と通知には、濃さで香水を分ける決まりは無かった
ここからは法律の話です。先に結論だけ言うと、オードトワレやオードパルファンという分け方は、編集部が読んだ法令と通知には出てきませんでした。
市販の香水は通常、化粧品として販売されています。医薬品医療機器等法(昭和35年法律第145号)第2条第3項が、化粧品を「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために……人体に対する作用が緩和なもの」と定義しています(2026年8月9日にe-Gov法令APIで条文を確認)。
その化粧品が広告や表示で言ってよい効果は、厚生労働省の通知(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)に付いた一覧表(別表第1)に(1)〜(56)として並んでいます。香りに関わるのは3項目だけで、香水に当たるのは(38)「芳香を与える。」です(原文ママ)。
編集部が読んだのは、この薬機法第2条と別表第1の2つです。この2つに、濃さで香水を区分する定めはありませんでした。(ほかの法令やJISまで当たったわけではありません)
同じ一覧表に「体臭を防ぐ」「汗のにおいを抑える」という項目はありません。口臭や体臭の防止は、法律上は医薬部外品(パッケージに「医薬部外品」と書かれている区分)の領域です(同法第2条第2項第1号イ)。
強く香らせたくないなら、量より先に位置を下げる
つけすぎが怖い人が最初に触るべきは、プッシュ数ではなく位置かもしれません。ただし根拠が薄い話です。
「体温が高い場所ほど香りが立つ」「香りは下から上に上がるので、下半身につけるとほのかに漂う」という理由づけを書いていたのは、3件のうちFITS you. の1件だけでした。同じ解説は、強調したいときの部位として首・うなじ・手首を、ふんわり香らせたいときの部位として足首・ひざ裏・ウエストを挙げています(2026年8月9日確認)。
カラリアは手首・うなじ・胸元・太もも・首筋を挙げていますが、理由づけは確認していません。いいにおいの用語集は賦香率のページなので、位置の記載はありません。
編集部は、位置による届き方の違いを測っていません。1件の解説がそう説明している、というところまでが分かっていることです。それでも位置から動かすことを先に挙げるのは、量が1回単位でしか刻めないからです。1プッシュを0.5プッシュにはできませんが、つける場所は上から下まで連続して選べます。
広く言われているが、編集部が裏づけを確認できていない2つ
香水の解説によく出てくる話のうち、出典までたどれなかったものが2つあります。どちらも作法として勧めません。
「手首をこすらない」
香水の解説には、ほぼ必ず「手首につけたあとこすり合わせない」と書かれ、摩擦で香りが乱れるという説明が添えられることが多い作法です。
この主張の一次的な根拠を、編集部は確認できていません。
だから、この記事では「こすると香りが壊れます」とは書きません。編集部としては、推奨も否定もしません。
「トップ・ミドル・ラストに変化する」
つけた直後の香りをトップノート、少し経ってからの香りをミドルノート、最後まで残る香りをラストノートと呼び分けて、時間とともに変化していく、という説明も広く流通しています。
ところが、編集部が確認した解説3件にはこの変化の時間の目安が書かれておらず、変化そのものについても社内に出典が1件もありません。だからこの記事では「トップは何分」といった時間を書きませんし、「時間を置いてから買うべきだ」といった買い方も勧めません。
つけすぎが起こすのは、香りの失敗ではなく人の問題
「つけすぎない」は好みの話だけではありません。国が香りへの配慮を呼びかける文書を出しています。
令和5年7月19日の事務連絡「香りへの配慮に関する啓発ポスターの改訂について(情報提供)」は、厚生労働省とこども家庭庁から各都道府県等へ出されています。背景として「柔軟剤などの香りで頭痛や吐き気がするという相談が消費生活センター」に寄せられていることに触れ、消費者庁が啓発ポスターを改訂した旨を情報提供しています。
ただし、この事務連絡が扱っているのは柔軟剤などの香り一般で、香水を名指しした資料ではありません。読み取れるのは、香りの強さが体調の相談として実際に出ているという事実だけです。
その事実を踏まえると、最初の1プッシュを少なめから始める理由がはっきりします。足りない香りは翌日に足せますが、つけすぎた香りはその場で消せません。
よくある質問
香水は何プッシュが適量ですか?
解説3件のうち1件(FITS you.)が、オードパルファンで1〜2プッシュ、オードトワレで1〜3プッシュを挙げています。ほかの2件に記載はありません。
迷うなら少ない側から始めてください。多い側はその日は修正できませんが、少ない側なら翌日に1回足して調整できます。
香水はどこにつけるのがいいですか?
弱く香らせたいなら腰から下、と説明している解説が1件あります。体温が高い場所ほど強く立ち、香りは下から上へ動く、という理由づけです。
編集部はこれを測っていません。人と近い場面で不安なら「下半身側から試す方法がある」という程度に受け取ってください。
オードトワレとオードパルファンはどちらを選べばいいですか?
薄いほうがオードトワレ、濃いほうがオードパルファンです。濃い側ほど強く長く香るとされるので、つけすぎが不安ならオードトワレから入る方が扱いやすくなります。
ただし賦香率の数値は解説ごとに違い、オードトワレは5〜10%・5〜12%・8〜12%と3通りでした。「何%だから何時間」という当てはめはできません。
手首をこすり合わせてはいけないのですか?
分かりません。こすらない方がよいとよく言われますが、編集部はその根拠を確認できておらず、推奨も否定もしません。
職場や面接で香水をつけてもいいですか?
その場のルールが優先します。編集部は業種ごとの規定を調べていないため、可否は判断できません。決まりがある場所ではそれに従ってください。判断がつかない場面では、つけない選択がいちばん確実です。
今日からできること
- 今日は1プッシュだけにする。物足りなければ明日1回足す
- 強いと感じたら、量を減らす前につける位置を腰から下に移してみる
- 「オードトワレは5〜10%」のような数値を、規格として受け取らない。どの解説を見たかで変わります
ほかにも気になっているところがあるなら、男磨き診断で手をつける順番を確かめてから戻ってきてください。ほかの記事は記事の一覧にまとめています。
ここが、いまのあなたの伸びしろ。まず今日は1プッシュだけにして、足りるかどうかの判断を明日の自分に渡す。
出典
公的資料(いずれも2026年8月9日確認)
- 医薬品医療機器等法(昭和35年法律第145号)第2条 — e-Gov法令API https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=335AC0000000145;article=第二条
- 平成23年7月21日 薬食発0721第1号「化粧品の効能の範囲の改正について」別表第1 — 厚生労働省法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7518&dataType=1&pageNo=1
- 令和5年7月19日 事務連絡「香りへの配慮に関する啓発ポスターの改訂について(情報提供)」 — 厚生労働省法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7829&dataType=1&pageNo=1
業界の解説(賦香率・持続時間・プッシュ数・つける位置。いずれも2026年8月9日確認)。公的機関でも査読済みの研究でもありません。
- カラリア https://coloria.jp/magazine/articles/MM3PH
- FITS you. https://media.fits-japan.com/articles/k9g282q_rs
- 株式会社いいにおい 用語集 https://11201.co.jp/dictionary/fragrance_rate/
この記事は出典の確認にもとづいて書いています。編集部が自分で実測しているのは東京のジム2,000店超の料金・設備データで、ニオイと香りの領域では実測をしていません。